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「……嫌だなって」
「うん」
「……他の女の子からこんなにチョコ貰った瑞穂くんは、嫌だなって少し、思いました」
「……」
「……」
ぽつり、ぽつりと本音が零れ落ちる。
教えてと言うから話したのに、黙りな瑞穂くん。ずるいじゃないか。恥ずかしいのに、ここまで話したというのに。
「やきもち?」
「……です」
「じゃあ、このチョコが全部蓮華のだって分かったときは?」
「……ほっとしました」
「気持ち悪いとか思わなかったの?」
「どうして?」
『やきもち』優しい声音が私の胸の奥底にある、先ほど隠した感情を言い当てる。じんわり頬が熱くなって思わず俯いた。
付き合いはじめて分かったこと。瑞穂くんは意外と意地悪だ。
両手で拳を作り机の上でぎゅっと握りしめる。と、ふわりと、私の手に目の前から伸びてきた瑞穂くんの掌が重なった。
触れたところから私より幾分か高い瑞穂くんの体温がじわじわと熱を感染させてくる。
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