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「さ、佐藤くん!?」
「痛いですか?」
「いや、痛くはな……って、そうじゃない!」
なんで、俺は天井を見上げてるんだ。
カーペットの毛が首筋に当たってくすぐったい。
いや。
違う。
違う違う違う。
そんなことはどうでもいい!
「くっ……!」
頭の上で繋ぎとめられた両手を動かすと、ギチギチと締まった。
手首をがっちりとホールドしているのは、さっき投げ捨てた俺のネクタイだ。
「手!外せよ!」
「嫌です」
「は!?」
「……」
「あ、ちょっ……!」
佐藤くんが俺の上にのしかかり、驚くほどの手際の良さで頭にタオルを巻きつけていく。
俺の視界は、完全に闇に包まれた。
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