俺たちのバレンタイン

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「さ、佐藤くん……っ」 「……」 「佐藤くん……?」 「……」 「佐藤く、ひっ!」 冷たいなにかが、シャツの中を這い上がってくる。 佐藤くんの手だと思う。 思うけど、見えないから本当にそうなのかわからない。 上から順番にシャツのボタンを外されると、肌が空気と触れ合ってスースーした。 「んっ……」 佐藤くんの指が、ツ、と伝い上がってきたと思ったら、胸の突起にトロリとなにかが垂れた。 ……おかしい。 この冷たいぬめりは、ローションだと思う。 でもなにかが……違う。 「なんだ、これ……?」 じわじわと、なにかが広がっていく。 なにか、ジンジンするような、感覚。 「さ、佐藤くん、なんか、変……!」 「媚薬入りローションです」 「び、やく……?」 「どうですか?」 「どう、って……」 「いつもとなにか違いますか?」 「んああっ!」 ツン、と弾かれただけで、電流が通ったようにビリビリと身体が痺れた。 「ち、違うっていうか――」 「どうしました?」 「ん、んんっ、ゆ、指、いきなり入れるな……っ」 「あ、足りませんか?」 「ひあぁっ……な、なにしてっ……」 ぶちゅぶちゅと音を立てながら、冷たいものが直接後ろに注ぎ込まれた。 あまりの異物感に一瞬息がとまりそうになる。 でもすぐに佐藤くんの太い指が中に入ってきた。 ぐちゅぐちゅと音を立てながら中をかき回されると、さっきまでの不快感があっという間にじくじくとした疼きに変わった。 「はっ、はっ、はっ……」 なんだ、これ? こんなの、いつもと違うどころじゃない。 疼く。 いや、違う。 かゆい! こんな優しい刺激だけじゃとても足りない。 思いっきり中をかき回して、擦ってほしい。 拘束されている手がもどかしい。 もし自由に動けたら、迷わず自分の指を突っ込んでたのに。 「さ、佐藤くんっ」 「はい?」 「な、なんとかして!かゆい!」 「理人さん、後ろだけでイッたことないですよね?」 「えっ……?」 「いつも最後にはここ、触るでしょ?」 「んっ!」 「でも今日は……」 「あ……?」 「こっちでイッてください」 ズクズクと疼いて止まない後ろに、ピトッとなにかがあてがわれた。 でも、佐藤くんじゃない。 まさか。 さっきの……? 「い、いやだ、あっ……ああっ!」
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