俺たちのバレンタイン

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思わず逃げようとした腰を強く引き寄せ、佐藤くんがそれを押し込んできた。 まだそんなに解されてないはずなのに、入り口が勝手に開いてそれを受け入れようとする。 まるで、自分から欲しがっているかのように。 「んっ、ふ、ぅっ……!」 入ってくる。 硬い。 冷たい。 ぬくもりの欠片もないただの塊なのに。 焦れた粘膜が待ち望んでいた刺激に震える。 ズルズルと内側が擦れる感覚が気持ちいい。 もっと。 もっと。 そう期待するあまり、勝手に腰が揺れた。 「あっ……んあああっ」 急にズブズブと一気に奥まで拡げられて、その圧迫感に息が詰まる。 「っ……」 「大丈夫?」 「大丈夫じゃない!抜い――」 ヴウゥゥン、と耳慣れない電子音が響いた瞬間、闇に包まれているはずの視界に光が散った。 「ああっ!や、やめっ……あっ、あっ、あっ!」 「うわ、すご……」 「はっ……あっ、ああっ……!」 「どんどん溢れてくる」 なにが、なんて聞きたくない。 知りたくもない。 「理人さん、感じてるんだ」 「ち、ちがっ……ああっ、んっ、ふううんっ!」 「こんなにしてたら説得力ないけど?」 「や、やだっ、み、見るなぁっ……!」 いやだ。 こんなのいやだ。 こんなオモチャなんかで感じたくない。 こんな姿、見られたくない。 佐藤くんにだけは、見られたくない。 「あっあっあっ……」 「理人さん、腰……揺れてますよ」 でも身体は正直で、与えられる刺激に素直に反応してみせる。 佐藤くんがそれを動かす度に口からは淫らな声が漏れ、熱の中心は強すぎる快感に悶えた。 小刻みに振動を繰り返すそれは、時折、揶揄うようにそこを掠めてくる。 コリコリとそこを圧迫される度に、俺の理性はどんどん遠ざかいった。 「ふっ、あっ……あああっ……」 「イキそう?」 「さ、さわってっ」 「え?」 「佐藤くんの手で、気持ちよくなりたい……!」 「……」 「あっ、あっ、ああっ!」 ズルリ、とそれが抜かれると、膝がガクガクした。 ヴンヴンと響いていた唸り声が止まり、急に視界が光に包まれる。 瞬きを繰り返すと、薄くもやのかかった視界の向こうに佐藤くんが見えた。 「ふーっ……ふーっ……」 「理人さん、その顔、反則……」 「はやく、さわれ……っ」 「はい……って言いたいところだけど」 ズブ、とまたおしりが拡げられる。 「今日は触ってなんてあげません」
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