チーズがとける夜には

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中学卒業と共に失恋をして、高校に上がってすぐに一度だけのんちゃんに聞いた事がある。 「頼りないし、1人じゃ何も出来ないあいつのどこが良かったの?」 って。今考えると負け惜しみを含んだみっともない質問だったなと思う。けれど俺の問いかけにのんちゃんはいつものような溶けた笑いを俺に向けて答えた。 「ふふ。そうだよね、そう思うよね。上手くは言えないんだけど、でもきっと圭くんならわかるんじゃないかなぁ。」 と煮え切らない答えをもらって、俺は胸にモヤモヤを抱えつつもそれ以上何も言えなかった。 俺の入れた麦茶を一気に飲み干すと祐介は幸せそうに笑って、ご馳走さまでした。って目の前の空になったピザの箱に向かって手を合わせた。それを言うなら俺にだろ?と思ったけれど、まぁいい、いつもの事だとさらりと流しておいた。 「帰らなくていいのかよ?のんちゃん心配すんじゃねーの?」 「大丈夫だよ。圭ちゃん家に行ってくるって置き手紙しておいたから。」 置き手紙って…いつの時代だよ。そこはLINEでも何でも入れておけば済む話じゃないのか?と思いつつも、祐介らしいなと言葉を飲み込んだ。 「そういや、おまえ今日何しに来たの?何か用事でもあったのか?まさかピザだけ食いに来た訳じゃないんだろ?」 「ん?あー…何かさ、家に居たら急に圭ちゃんの事が頭に浮かんで呼ばれてるような気になっちゃって…そうしたら次は圭ちゃんの元気のない顔が浮かんでさ、すぐ行かなきゃ!って思って来たんだ。」 「何だそれ?おまえはエスパーか何かか?」 「うん。その能力があるんじゃないかって思うんだよね。だってさ、昔から圭ちゃんやのんちゃんが辛そうな時はどうしてだかわかったりして…あれって何だったんだろう…」 首を傾げながら真剣な顔してそう言う奴が可笑しくて、可笑しくて…けど何故だか涙が溢れた。本当に何なんだろうな…マジでエスパーなんじゃねぇの?確かに今日俺はいつもしないようなミスを会社でして上司から嫌味たっぷりに怒られた挙句、少しくらい顔が良いからって調子に乗るなよ!なんて捨て台詞まで吐かれていた。
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