チーズがとける夜には

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「分かったから。ちゃんと分かったからもう帰れ。」 「うん!帰る!じゃぁまたね!」 扉が勢いよくバタンと閉まる。さっきまで半泣きだったくせにそう言った祐介の顔は清々しかった。一人になった部屋の中で溶けて固まったチーズの付いた箱を見つめる。 「片付けくらいして行けよ…」 そうポツリと呟いてピザの箱を手に取ると一片だけ箱の角が破れていた。ふと箱の下を見れば破かれた箱の一部がそこにはあって、汚い字で、〝圭ちゃんは大丈夫だよ〟って書いてあった。こんなのいつ書いたんだ…何でわざわざ下に隠すんだ…どうせならちゃんとした紙に書いてくれよ。 気が付くと頬から涙が伝っていた。また泣いてしまった。いや、泣かされた。のんちゃん、俺わかったよ。わかっていたよ。あいつは頼りないし、何も1人じゃ出来ないし、馬鹿みたいに素直過ぎてどうしようもない時もある。だけど、誰にも気付かれないような傷付いた心をゆっくりと温めて溶かす事が出来るエスパーだって事を。
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