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「はいはい、もう店閉めるよー。おやすみぃ」
マスターに半ば追い出されるように『Mirage』を出た。
午前3時50分。
飲み屋街である駅前の大通りは、まだ濁った夜の匂いが充満していた。
こんな時間なのに、暗いアルコールの海に安っぽいネオンが光る。
金夜の今日は、朝の五時までやっている居酒屋が多いし、キャバクラやガールズバーもまだ開いている。それに24時間営業の居酒屋も二店舗あるのだ。
すれ違う人々は、顔がだらしなく緩んでいたり、軽くふらついてたりする。みな頬が上気しているのは二月の寒さのせいじゃない。
深夜だと言うのに、酒が入った時特有の浮ついたやたら大きな声を張り上げている。
しょぼい飲み屋とラーメン屋ばかりが立ち並ぶ、下品でシケたベッドタウン。
この間、でかいスーパーが閉店したばかりだ。
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