大好き、だから

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 ――それは、数時間前の記憶――  雪降る都心の広場。  一人の少女が黙々とパンを食べていた。 「……」 「美味しい?」 「……」  由紀は、目をキラキラと輝かせながら一心不乱にホットドッグを頬張っている。 「まあ、喉に詰まらせないように気を付けてね」  勇樹は、由紀の無反応を気にせず慈愛に満ちた微笑みを浮かべた。  勇樹には、地味で戦闘にも役立たない特殊能力があった。それは、ホットドッグを無から生み出すということ。  しかも、不発に終わることも多々あるポンコツ能力。  そんな能力に彼は満足していた。  なぜなら、感情を失った由紀が、それを食べるときだけは目を輝かせるのだから。  勇樹が頬けていると――
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