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「外でかよ。めんどくせぇ」
と言いつつも理人くんはトイレに僕を連れて行ってくれた。やっぱり、理人くんは何だかんだで優しいんだ。あの人とは違う。少しホッとして、おトイレに入る。
二人で多目的用の個室に入った。便器を見ると、もう堪らなくなった。僕は内股になりながら理人くんを見る。
「ま、理人くん、しても良いかな……」
「……」
「……理人くん?」
「そうだ、叶さん、先日俺が置いておいた求人票には目を通しましたか?」
な、何で、今!?
「え、え、えと」
「見てないんですね?」
「……はい……」
はぁ、と重い溜息。こ、これは、マズイぞ。
「あんた、そんなことでどうするんです?病気にかまけて、いつまで働かないつもりで?そんな調子でこの先生きていけると思ってるんですか?」
お説教が始まってしまった!僕はもじもじと腰を揺らしながら首をすくめる。
「便所だって、いい加減」
「っわ、分かったよ!ごめんってば、も、もういいから、買い出しに行こうっ」
僕はそれ以上おトイレを前にしてお説教を聞ける自信がなく、渋々理人くんの背中を押して、おトイレから出た。
「もういいんですか?」
「う、うん……」
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