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理人くんがイラついたように頭を掻き毟る。
「じゃ、俺、寝るんで」
びちょびちょの猫砂の中、泣き出しそうな僕を残して、理人くんは部屋を出て行ってしまった。
僕だけが、取り残される。いつも、僕だけが。
*
「叶さん」
健気で可愛い、叶さん。今日のあんたは、写真に収めたいくらいでしたよ。
「叶さん……高成……。気持ちいい?」
うっそりと笑みを浮かべ、かつて隠し撮りをした写真に向かって話しかける。気持ち悪い行為だ、よく分かっていたが。
「っ、……おれも、気持ちいいよ……」
いつか、この気持ちを打ち明けられたら。
いや、無理だろうな。
俺は今日も、一人きりで眠りにつく。二人暮らしなのに、一人きりで。
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