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僕は視線を落とす。理人くんがはぁ、と溜息を吐いた。僕は立ち上がり、布団を畳む。理人くんはいつものように出かけていって……しまわなかった。
「叶さん、今日は日曜です。買い出しに出かけますよ」
「……えっ」
僕に?僕に言っている、んだろうか。戸惑っているとまた、溜息が聞こえた。
「いい加減、社会復帰しないと。手伝ってあげますから。買い出しくらい、行けるでしょ」
「で、でも、そ、外は」
「いいから。早く、支度する。5秒」
理人くんはいーち、にーい、とカウントダウンを始めた。ま、待って、早いよ……!僕は大慌てで着替えを始める。「……10分。随分かかりましたね。次からは頑張ってくださいよ」
そう言った理人くんは、さっさと部屋を出て行く。……行きたくない、けど、ついていかないとどんな目に遭わされるか分かったものじゃない。
「……ハイ……」
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