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「はっ、早く、理人くん!」 僕は、帰ってきたばかりの彼に、いきなり強請った。 「もー、あんま急かさないでくださいよ。俺だって、学校帰りで疲れてるんだから」 彼、理人くんはげんなりした顔をして、ゆっくり靴を脱いだ。 「ごめん、でもっ、もう、ああっ!」 僕は足を必死にクロスする。頭の中はパニック状態で、もう、「それ」のことしか考えられない。 「叶さん、いい加減俺なしでもできるようになってください。て、言うか、仕事は見つかったんですか?」 理人くんが腕を組んで僕の前に立つ。ま、まずい、お説教モードだ。僕はもじもじと膝頭を擦り合わせながら、小さくスクワットでもするように軽くしゃがんだり立ったりを繰り返す。 「早く独り立ちしてくれないと、困るんですよね……。叔母さんからお目付役って言われてもう一年。俺にも立場ってものが」 「ごめんなさい、ごめんなさいっ」 「ごめん、で済むと思ってるから駄目なんですよ。そりゃあ、俺はまだ高校生だし、叶さんの苦労は分かりませんけどね。あんたは家からすら出ようとしないじゃないですか」     
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