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棺のような通路は消毒薬臭が漂っていた。どこまでも無彩色の壁が続き、丁字路にぶつかった。右の曲がると地下へ下りる階段があった。階段を下り、ゆるやかなカーブの通路を歩くと、正面に鉛色のドアが見えた。そこにも武装兵が警備していた。
「200年前までここは天文台だった。今は廃墟だが、そうなった原因を知ってるかね?」
大尉はドア脇のキーボードを操作しながら阿僧祇にきいた。
「記録によれば、設備が古くなって移転したとか、費用が嵩むので放置されたとか」
阿僧祇が答えると大尉は薄く笑った。ドアが開き、中に入るように促した。
ドアが閉まると、意外なことをしゃべりはじめた。
「表向きはな。真実は、封じ込めオペレーションだった」
「封じ込めオペレーション? 初めて聞いた」
「暗黒海淵の漁夫のエピソードは? もしくはパンゲア大陸のモアイ像は?」
「・・・」
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