納骨

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納骨

 堀田由香子(ほったゆかこ)は、葬儀から帰宅すると、玄関の三和土(たたき)で草履を脱ぎ、(かまち)を上がった。そして膝を折り、白足袋の裏の上に喪服の尻を置くと、持っていた桐箱を床に下ろした。  桐箱は広金覆(こうきんおおい)が被せられてあり、(ふた)の天板は、立ち上がりに吸い付いているようにはまっていた。  由香子は金色の覆いを引き()がし、天板を()じ開けて、中に納まっていた白磁の壺を取り出した。それを喪服の胸の前で抱え持つと、立ち上がって薄暗い廊下の奥へ乱歩に消えていった。
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