カップ麺に捧ぐ

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大気は乾ききっていた。空を見上げた。凶暴な太陽が、銀色の光を放ちながら冷たく燃えている。頭上に燦然と輝く、呪われた色合いのひかりに不吉な物を感じた俺は、歩を早め、家路を急いだ。 半年前から格安にて潜り込んでいる事故物件アパート。素人でも難なくピッキング出来てしまいそうなちゃちな造りのドアノブに、いつもの使いなれた鍵を差し込んで開ける。靴を脱いで真っ直ぐに目的の場所を目指す。着替えは必要ない。 硝子のコップを手に取り、水道水を汲んだ。それを一気に喉の奥に流し込んだ。硝子コップを流しに置いた。ボンゾのスネアのような音がした。
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