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リョウタとプー
リョウタはもうすぐ4歳になる。
リョウタが生まれるより少し前から、リョウタの家にはトイプードルの女の子のプーがいる。
この春に5歳になった。
なかなか子どもが授からなかった、リョウタの両親のスミレとケイタは
結婚8年目の記念日にプーを迎えた。
散歩が好きで、甘えん坊なプーは家の中の空気をとても賑やかに明るくしてくれた。
スミレとケイタは春にお花見をするくらいで、外で遊ぶことを好まなかったのだが、
プーが来てからは、河原にお弁当を持って出かけたり、ドッグランが併設されたカフェに出かけたりする様になった。
そんな日が半年ほど過ぎた時、スミレはリョウタを身籠った。
それからは、ますます太陽の下を二人と一匹で歩く様になった。
予定日よりも、一週間早くリョウタは生まれた。
「リョウタはコウノトリでなく、プーが運んできてくれたね。」
ケイタは初めてリョウタを抱いた時、そう言って涙ぐんだ。
その日から、プーはリョウタを甲斐甲斐しく面倒を見る様になった。
スミレが洗濯を干しに外に出てる時、リョウタが泣くといつもプーが知らせに来た。
歩き始めた時も、いつもリョウタのそばにはプーがいた。
三輪車で転ぶと、吠えて知らせ、お昼寝も一緒にした。
昼でも夜でも、リョウタはプーがいると愚図ることなくよく眠ってくれた。
スミレにとっても一緒に子育てをしている様な、心強さがあった。
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