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しかし熱い。
全身から汗が吹き流れでて、息苦しい感覚に襲われた。
「君にできることは耐えるだけ、テレビに集中する、時計をじっと見る、ひたすら内省する、何も考えない。
どれを選択するかは自由。
時間を贅沢に過ごしなさい」
いつの間にか横にいた彼が呟いた。
「12分計や砂時計で時間を判断したまえ。
通常6~12分が目途だ。
熱さでもう限界と感じた時からが本番。
あと1分と言い聞かせて限界を超えたまえ。
とは言えあまり無理するのは体に悪いのでほどほどに」
少し矛盾している気もするが、やってみようと思った。
そう言えばテレビをゆっくり見るのは久しぶりだ。
チャンネルは選べない。
今日は通販番組が流れていた。
訳の分からないワイドショーよりはマシだ。
家庭のこと、仕事のことを目を閉じて考えた。
携帯も鳴らない。本もネットもSNSもない。
頭だけで考えるのは久しぶりではないか?
これって今の社会では何気に凄い気がする。
過去のこと、これからのことをぼんやり考え始めた。
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意外と耐えられそうだ。
もっと熱くても大丈夫な気がする。
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最上段の人が出ていった。
そこに恐る恐る座ってみた。
まるで別世界。熱さがぜんぜん違う。
これが常連たちの世界か!
熱さで顔が痛くなる。
マネしてタオルで顔を覆ってみた。
帽子を被っている人もいる。
さすがいろいろ工夫をしている。
でも吹き出る汗が気持ちいい。
もっともっと熱く熱く!!
時計を見た。
あれ?まだ二分しか過ぎていない。
時の流れが遅く感じる。
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