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頭上の空は、いつにも増して鈍色に重々しく雲を重ねていた。確たる形を持たぬものはその姿を変えながら地上の全てを押しつぶすようにざわざわと蠢いている。
大地にはうっすらと白い絨毯が敷き詰められ、その風景は見ているだけで寒々しい。これから訪れる厳しい冬を警戒してか、モンスターでさえも息を潜めていた。
この世の万物に宿るとされている魔力は、大陸の西方では比較的穏やかなせいか人の繁栄もあまりない。
人間の王都は東にあり、西は辺境の地とされて訪れる者は多くはなかった。そこにいま住む者ですら遙かな過去に何があったか詳細を知る由もない。
この地も太古の昔にはマナが豊富だったのか、平野にはそれを物語るかの名残らしきものがぽつりぽつりと垣間見えた。
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