されど其は希求する

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 遙かな昔、ここには大きな街があった事を示唆するように、あちらこちらに建物の痕跡らしき石壁が点在していた。  風化によって成された風景なのかとも思われてしかし、古い壁に張り付いたどす黒い染みは過去には赤かったのかもしれない。  止めどなく繰り返されてきた闘争は人同士なのか、はたまたモンスターとの争いなのか。ふと目を留めれば足元には幾つかの骨が埋もれていた。  かの地に目を向ける者はついぞ姿を見せる事無く、古き営みは幻影とも似つかわしく揺らめいて魂の安らぎを求め闇を幾重にも彷徨う。  それらを見渡せる丘は灰色の空を恨めしそうに仰ぎ、吹き抜ける風にもの悲しさを乗せていた。  その丘は「呪いの丘」と呼ばれ、動物たちはおろか魔獣すらも近寄ろうとはしない。いつからそう呼ばれるようになったのか定かではなく、踏み込む者の魂を吸い取るのだと伝えられるようになった。  しかれども、そんな言い伝えすら人々の記憶からは忘れ去られてゆき、細々と噂される程度となり果てていた。もはや、この地に棲み着いた盗賊が時折口にする限りである。  
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