されど其は希求する

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 雪は、大地を厚く覆い尽くすまで止むことはないだろう。  その純白は血に塗れた大地を包み隠すためなのか、それとも傷ついた魂を癒すためなのか。静かに、静かに降り注ぐ。  ソレはそして待ちわびる──新たな主人は己をなんと呼ぶのだろうか。それは呪いか祝福か。どちらにせよ、剣にはどうでもいい事だ。  この身に再び血を塗り込める相手が居さえすればそれで良い、さすれば二度と彼の者を離しはしない。  そう祈り、そう願いただひたすらに、雪降るなかに待ち続ける。 fin
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