2月13日

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台所貯金にいくら入っていたのかは知らないけど、最近その貯金で新しい冷蔵庫を買ったって言ってたし、相当な額だってことは分かる。 「はやいな、もう着いちゃった……」 私はため息をひとつつくと、家に入った。 「ただいまー」 「おかえり、奇子。あらあら、随分と重そうね」 お母さんはにこやかに出迎えてくれる。1年ぶりに会うけど、白髪が前より増えてる。それでも老けたという印象はなくて、グレイヘアがよく似合う上品なおばちゃまって感じ。 「ちょっと予定より買いすぎちゃって。ご自慢の冷蔵庫、さっそく使わせてもらおうかな」 「ふふっ、使ってちょうだい」 お母さんは嬉しそうに言うと、急かすように私の手を引っ張る。 台所につくと、大きなネイビーの冷蔵庫が、存在感を放っている。 「すごい……。これ、最新のやつじゃないの?」 「ふふふっ、奮発しちゃったー」 お父さん、本当に台所貯金いくら積んだのよ……。 「まさかこんなにいいもの買ったなんて思わなかったよ……」 そう言いながら冷蔵庫を開けると、チョコレートと生クリームが入っている。 「あれ? お母さんもなんか作るの?」 「えぇ、久しぶりにね」 まさかとは思うけど……。 「もしかして、彼氏でもできた?」 「やぁね、奇子ったら。私はお父さん一筋よ。せっかくだから、奇子と一緒に作りたいなって思っただけ」 お母さんはおかしそうにクスクス笑う。 「そっか、そうだよね」 安心した私は材料を冷蔵庫にしまうと、居間に行って炬燵(こたつ)に座った。 「外、寒かったでしょ?」 一足遅くに来たお母さんは、茶菓子やみかんをのせたお盆を持ってきた。茶菓子とみかんを並べると、ふたつの湯呑みを炬燵の上に置いて、緑茶を淹れてくれる。 「うん、寒かった。1月より冷え冷えとしてるよね……」
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