2月13日

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「もちろんお父さんのことは愛してるし、恥ずかしいと思ったことなんて一度もなかったわ。でもね、他人の物差しで好きな人を見られるのは嫌で、その手の話は当時避けてたのよ」 「へぇ、そうなんだ……」 お母さんの話を聞いて、私が海野さんの話をするのを嫌がる理由が、はっきりした気がする。 「奇子が幸せなら、お母さんはそれでいいの。あ、でも、結婚する前には挨拶にいらっしゃいね」 「結婚って……」 その2文字に、顔が熱くなる。 「ウブね。お母さんはゆっくり待ってるから大丈夫よ」 お母さんの言葉にホッとして、この話はここで終わった。 それからしばらく雑談をしながら、チョコレートが固まるのを待った。 「そろそろかしらね」 お母さんに言われて時計を見ると、3時間近く経っている。 「そうだね」 私達は台所に行くと、それぞれチョコレートの確認やラッピングをした。 海野さんにあげるのは赤い箱に詰め込んで、それ以外は小さなラッピング用の袋に入れる。 「できた……!」 「私もできた」 お母さんの方を見れば、赤い箱と青い箱が並んでいて、その隣には小皿に少量の生チョコがのっている。 「これ、お母さんに」 私は袋に入れたロッシェをひとつ、お母さんに渡す。 「ありがとう。はい、こっちのが奇子ので、こっちのは彼氏さんに」 お母さんは赤い箱を私に、青い箱を海野さんにと渡してくれた。 「え、いいの? 海野さんのぶんまで……」 「へぇ、海野さんっていうのね。これからも奇子をお願いしますっていう、お母さんからのお願いチョコよ」 お母さんはそう言ってウインクする。
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