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アッキーが私に与えれくれるのモノは、極上の快楽だったけれど、それは私の意思や想いや自由と引き換えで。
身体は、これ以上ない快楽に溺れてはいるけれど、心はその行為が彼の愛情表現だと感じることはなかった。
ただ私にとって彼は、自分の手に入れた目新しいオモチャで遊ぶのが愉しい、自分のお気に入りを他の誰にも渡したくない。そんな子供じみた姿にしか見えなくなった。
駄々をこねている子供から与えられる快楽は、私の為の物ではなく、彼が自分自身を満足させる為のものだから、何一つ私の心には響かなかった。
私は彼の思い通りになかなかならない、オモチャになった。
どうにかして自分の思い通りにしたくて仕方がない。
唯一、SEXの間だけ自分に愛を囁き、自分の望み通りの答えをくれる。
だから、彼はいつも私とSEXしていないと不安で仕方なかったのだろう。
精神(こころ)が離れてしまうと、それはそのまま肉体(からだ)にも反映されてしまう、という事をアッキーとの関係で私は痛感した。
それはきっとアッキーも同じで。
あの、私が大好きだった焦がれるような眩しいほどキラキラとした瞳は、どこにもなくて。
今、彼が私に向けるのは、欲望にまみれたギラギラと不健康な光を放つどんよりと濁った瞳で。
そこに見えるのは、私に対する愛ではなく、執着だったり嫉妬だったり猜疑心だったりの彼の歪んだ感情だけだった。
その瞳で見つめられる先には、少しでも苦痛から逃れる方法を必死で探している、アッキーを恐れる私しかいなかった。
彼を見つめる私の瞳の中にも、きっと恐怖やおそれしか見えないだろう。
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