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私は、少ない荷物を紙袋に詰め込んで、車に積んでその夜のうちに家を出た。
アッキーと出会う前に一年ほどバイトをしていた、スナックのママと話していた時に、誰にも見つからない所に行きたい、なんて言ったら、だったら東京に行けば人が多いから見つからないよって教えてもらったのだ。
アッキーと出会って、アッキーに惹かれて、アッキーに溺れて、アッキーに狂わされて。
もう一生アッキーから逃げられないと諦めていた私だったけど。
本当に狂ってしまったアッキーからの責め苦に耐えられなくなってきていた。
それは、私の身体がアッキーとのセックスを快楽ではなく苦痛に感じるようになったからだ。
彼とのセックスが快感であり続けたなら、私は一生、彼に囚われ続けていたかもしれない。
まだ、これからの人生の方が長い。
私は、これまで生きてきた倍以上の時間をアッキーに囚われたまま、怯えながら、生きていく事に耐えられないと思った。
それと彼の異常な独占欲が、何よりも自由に生きていたい私には苦痛以外の何者でも無かったから。
高速に乗って東京に向かいながら、これでやっとアッキーから自由になれる、私は心から解放された喜びに浸っていた。
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