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彼が実家を飛び出して行方が分からなくなった。
彼の母親は私が彼を唆(そそのか)して家出をさせたと思っていたらしい。
彼と私の年の差のせいか、母親の前でアッキーを叱りつけたからか、彼は私の言いなりだとでも思っていたのだろう。
そんなに自分の息子がバカだと思っているのか、母親ならではの親心なのか分からないけれど。
母親は私がアッキーからされた仕打ちを知らないから、彼が公務員を辞めたのも、自分で会社を立ち上げたのも、会社がうまく行かなくなったのも、全部を私のせいだと思っているらしかった。
私は、アッキーの事なんて知りたくも無かったから「知りません。私たちはもうとっくの昔に別れてます」と答えたけれど、彼女はなかなか信用しなかった。
私は、とっくの昔に彼とは終わったのだと言っても、私の方から彼と別れたんだと言っても、私は彼とはもう全く接点は無いんだと言っても信じなかった。
とにかく彼女は「敏明の行き先を教えてちょうだい」としか言わなかった。
この親にしてこの子あり、そんな言葉が頭に浮かんだ。
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