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けれど、そんな私の穏やかな日々は、あの日突然、終わりを告げた。
彼らしき人を見かけたあの日から、私は毎日彼の影に怯えて暮らす様になった。
私は知っている。
アッキーの狂気を。
アッキーの私への執着を。
彼の元から逃げて、東京へ行って。
あれから十年も経っているのだ。
詳しい事は知らないけれど、彼はあれからも行方不明のままらしい。
だからこそ、不安なのだ。
今、住んでいるのは実家の隣の市で。
やっぱり実家から、もっと離れた方が良かったのか。
けれど、両親に何かあったら、すぐに駆け付けられる距離にもいたい。
そんな葛藤はあったけれど、私の結婚相手は私を思って、実家のある隣の市に新居を買ってくれたのだ。
毎日、特に何も無く平穏に暮らしている。
なのに、たまたまあの日いつもは行かない夜のケアに急遽、私が行く事になって、いつもよりも帰りが随分と遅くなってしまった。
そんな滅多にない日にアッキーに出会うなんて、偶然にしても有り得ない。
だからこそ、彼に見つかったんじゃないか?と言う恐怖で毎日ビクビクと怯えながら過ごしている。
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