終焉

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終焉

あの、「アッキー」と思しき男性と偶然出くわした日から半年後。 もう、すっかりアッキーらしき人と出会った事すら忘れていた私。 その日も、あの日と同じく急に入った仕事で帰りがすっかり遅くなってしまった。 そして、いつものコンビニで買い物をして駐車場を横切ろうとした瞬間。 そこに停まっていた車が急に動き出した。 思わず立ち止まった私が見たのは…。 「アッ…」 そこには、随分と頭が白くなり少し薄くもなって、そしてやっぱりちょっと丸くなったアッキーがいた。 彼はニタリと笑うと言った。 「やっと見つけた…。水結(みゆ)りん…」 あまりの驚きにその場で固まった私の腕を掴んだアッキーは、そのまま車の中に引き摺り込んだ。 「お互いに年取ったね。ふふっ…。もう、二度と離さないから。水結りん、今度こそ逃がさないからね。これからはずっと一緒だよ」 今の私は、ベッドに手足を括られて、両脚の間にはアタッチメントの付いた電マが深深と突き刺さり固定されている。 またしても私は声にならない悲鳴を上げながら、アッキーの冷たい視線に見下ろされている。 「俺はもう、あの頃みたいに水結りんをオレ自身では満足させられないから、これでガマンしてね。でも水結りんは、こっちの方が良いかもね。これならいつまででも永遠に水結りんを犯せるもんね」 私は、あの頃と同じ時間を今度は永遠に過ごしていくんだ…と、真っ白になっていく頭の中でどこか他人事の様に考えていた。 ー【完】ー
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