氷怨の雪解け

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 1. 一月二十日、午前九時三十分。 真っ白な空から絶え間なく落ちてくる白い粒に同じくらい白い息を吐きかけながら、あたしは必死になって前を歩く三人を追いかけて歩いていた。 足元は一面白銀の道が続き、油断するとすぐにスリップを誘発させてくる。 出発直前まで寒さで感覚がなくなりかけていた足の先は、今は休憩もないまま歩き続ける疲労のせいで感覚が麻痺してしまっていた。 「ちょっとぉ、みんな歩くの速すぎ。どんだけ体力有り余ってるのよ」 雪山を登り始めて既に一時間半。さすがに慣れない身体には毒だったようで、あたしのふくらはぎはプルプルと痙攣(けいれん)でも起こしそうな状況に陥り、休息を訴え始めている。 「何だよ亜莉子(ありす)。もう()ぇあげてんのか?」 あたしの疲弊した声を聞いた(とおる)が、肩越しに振り向きからかうような言葉をかけてきた。 「まだ半分も登ってねぇぜ? これでもペース抑えてんだからよ」
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