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「場所による。残念ながら、この山は頂上まで行かねーと小屋はないぜ。どっか適当に休めそうな場所見つけっから、もうちょい頑張れ」
弱音を含んで訊ねたあたしの問いかけに、徹はサラリと答えてサクサクと雪を踏みしめ先へ歩いていってしまう。
「マジかぁ。萎えるわぁー……って、ねぇあれ何? 神社?」
げんなりしながらあたしも足を進めつつ前方を見ると、何やら小さな石の鳥居らしきものがあることに気がつき、誰にともなく声をかけた。
「ん? ああ、確か山の神様を祀った祠があったっけな。ちょうど良い、あそこで少しだけ休んでいこう」
「神様の祠……」
友志の返答を聞いて、あたしはほんのちょっとだけ身構えるような心地になった。
迷信だと頭ではわかっていても、神様とか仏様とか、そういうものが関わる場所は何か不思議な力が宿っているような気がしてしまい、つい無駄に意識してしまうのだ。
「あそこ、洞窟みたいになってるから雪が降ってるときは緊急避難にも使えるのよ」
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