氷怨の雪解け

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真子がそう教えてくれるのを聞いて、あたしは萎えかけたテンションが少しだけ上がるのを自覚した。 「それなら、普通に休める場所だよね? 良かった……あ、でも一回座っちゃったらもう立ちたくなくなるかも」 「そんときゃ、友志にでもおぶってもらえよ」 「あ、じゃあ徹はわたしのことおぶってよ」 「ふざけんな、背骨折れるだろ」 「な……最近五キロも落としたわたしに対して、よくも言ってくれたわね」 「五キロ? 五グラムじゃなくてか?」 目の前で楽しそうに嫌味を交わし始める徹と真子を眺めて、あたしはつい口元を緩めてしまう。 これだけ仲良しなら、いい加減付き合っちゃえば良いのに。 この二人が揃うといつもそう思ってしまうのだが、人間なかなかそう都合良くはいかないものらしい。 「……ん? 何だこれは? 去年来たときはこんなの無かったよな?」 黙々と先頭を歩いていた友志が、突然足を止めてあたしたちを振り向いてきた。
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