人間牧場

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 所長がサッと目を見開いた。下瞼が震え、唇が引きつる。恐怖の表情。手袋ごしに、ぬるりと生温かい感触。所長の手がとろりとろけて床に崩れ落ちた。 「違和感は感じたんだ。俺が前所長室を訪れたとき、異様なくらい冷房が効いていた。俺が差し出したガムを断った。お前、体がチョコレートになってるな」  だから手を握ると、俺の体温で溶けてしまう。 「ワタシ、キャリア」  所長が口を開く。  英語?
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