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死闘
この半世紀で世界の人口を半減させた人類の敵、カカオ。三十センチほどの大きさの寄生生物で、猛毒の物質、チョコレートを分泌する。カカオに噛みつかれた人は急性チョコレート中毒にかかり、鼻血を出した後、口からチョコレートを吐き出し数分で死亡、死体からは体内で孵化したカカオが湧く。
俺は防毒マスクをかぶり、単身で研究所内に発生したカカオを駆除しに向かった。
銃を構え、蒼白い照明が照らす陰鬱な廊下を進む。
先程犠牲になった研究員のいた部屋に突入する。だが、顎から上が吹き飛んだ彼の死体が異様な空気を醸している他は、特に何かがいる気配もない。
カカオめ、もう何処かにずらかりやがったか。
だが。
人類の英知の前では、こそこそかくれんぼしたって無駄でしかないのだよ。
ショルダーバッグから出すのはバナナ。バナナとチョコレートの相性が良いということは百年も前から知られている。バナナとチョコレートとの間の因縁のようなものが、カカオを引きつけるのだ。
幾本ものバナナを床に積み、距離をとって銃を構える。
さあカカオめ、観念して出てこい!
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