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突如轟音とともに壁に穴が開き、橙の光線が一閃する。残像すら残らぬ勢いで飛び出したカカオがバナナの山に着弾、砕けたバナナの欠片が周囲に散った。
息をつく間もなく、今度は天井が破れる。コンクリートの破片が土煙に黒く煌めくなか、カカオの群れが雹のように降り注ぐ。
足下でミシリと音がしたので咄嗟に横っ飛びに跳ねる。
さっきまでいたところからカカオが噴水のように噴出し、足を掬われて尻餅をついた。
驚くべきは、バナナのおぞましいまでの誘引力。
今やバナナはカカオの大群で埋め尽くされ、橙の蠢く山と化している。
深く息を吸い、止める。
それが俺の仕事の前のルーチン。
極限まで神経を尖らし、俺は引き金を引いた。
閃光、轟音、次いで硝煙。
弾丸の雨がカカオの群れを容赦なく猛打し、カカオがキイキイと耳障りな高音で鳴く。
撃たれたカカオは苦しそうに床をくるくる転がり、やがて動かなくなる。
この銃は対カカオ用に開発された特殊なもの。弾丸にはチューイングガムが練り込まれている。ガムは脂溶性のため、チョコレートに溶け込む。このため、この弾丸はカカオの体内に溶け込んで死に至らせるのだ。
生き残ったカカオがバナナを離れ、猛然と迫る。
絶え間なく叩きつける銃弾。
近距離だと弾は物理的にもカカオを破壊。一面花が咲いたかのようにオレンジの肉塊が弾け飛ぶ。
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