ホワイトチョコレート

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 死体はすぐに調査にかけられた。結果分かったのは、悍ましい真実。  死体はなんと、チョコレートになっていた。彼は、風呂に入るまでは、完全にはチョコレートにはなっていなかったようだ。だが、湯船に浸かったことによって一気にチョコレート化が加速し、溶解してしまったらしい。たとえ風呂に入っていなかったとしても、遠からずチョコレートになって気温で溶けてしまっただろう。ここは熱帯だからな。  なんとおぞましい死に様。一応は軍人であり死体も少なからず見てきた俺でも、流石に吐き気を催した。  だが、本当に恐ろしいのはここから。  彼は、ホワイトチョコレートを服用していたのだ。  彼は明日カカオ撲滅のためのパトロールにでる予定だった。その際の感染対策のため、皆より先に摂取していたのだ。  さらに遺体を調べたところ、ホワイトチョコレートには生物をチョコレート化する作用があることが判明した。  あの所長が渡したデータは偽造されたもの、ということになる。  軍は騒然となった。  もしホワイトチョコレートを配布していたら、市民全員がチョコレート化して全滅していただろう。  俺は事情聴取すべく、国立感染症研究所へと向かった。
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