ヴァーチャル・リアリティ

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 その理想を現実にしてしまった人を俺は知っている。もしそれを教えたら悠人はどうなるのだろうか。気にならないこともないが、実際にやるわけにはいかない。約束もあるし、なにより、俺はあいつの親友なのだ。 「今日も賑やかだね、あそこ。」  ふと、すぐ隣で声がした。誰も言葉を返さないから多分俺宛の言葉だと思い振り向くと、ウェーブのかかった赤茶ボブヘアーの女子がボールペンと書類を持って立っていた。 「白河。」 「三上君は入ってこなくて良いの?」 その言い振りだと俺もあの一味みたいじゃないか。確かに普段はつるんでいるが、あの会話の時に限っては俺とあいつらとは赤の他人だ。 「俺、アイドルトークとかあんまり好きじゃないんだよ。」 「アイドルねえ・・・」  白河は何故か少し思いつめるような顔をした。 「月島のことをアイドルと呼称するのは女子から見てどうなんだ?」  白河は一瞬意外そうな顔をした。 「そうそれなんだけど、月島さんって女子の間でもアイドル化されてるから、それについてはみんな何も思わないっていうか、むしろ同感なんじゃないかな。でも・・・」 「友達いないのか?」 「デリカシー無いね。」 「すみません、反省します。」  そういえば月島が特定の誰かと一緒にいるところって見たことがないような気がする。 「私はずっと友達になりたかったんだけど、月島さんって、なんというか自分からに人を拒絶しているような節があって・・・」     
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