ヴァーチャル・リアリティ

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「えっ、これってそんなに喜ばしいこと?」  周りの連中がクスクス笑っている。男子はともかく女子まで・・・ 「い、いやその・・・文化祭の準備サボれるなぁ~って。」 「文化委員がなに言ってるの・・・」 「すみません。」  気のせいか、さっきより周りがざわついている。いや、これは気のせいじゃないな。 「次、移動教室だし私はもう行くね。放課後よろしく。」 「ああ。」  俺は教室から出ていくシャキッとした背中を見送りながら、同時にこのあと訪れるのであろう面倒事への対処法を考えていた。  教室の扉が静かに閉められる。それが合図になった。 「デートか。」 「デートだな。」 「どう考えてもデートじゃん。」 月島ファンクラブの三人が俺を取り囲んでいた。 「聞いてなかったのか?文化祭の買い出しだって。」  言っても無駄なのは分かっているが一応言っておく。 「デデンッ。男女が二人でお買い物、これ、なんと言う?」  無視かよ。 「ピンポンッ。」 「藤野君どうぞっ。」 「デート!」 「正解!」  俺に解答権は無いのか・・・ 「真面目な話、お前、白河さんに告る気は無いのか?」 「それは・・・」     
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