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実は今日中に告白しようと思っている、なんて言うわけない。こいつらのことだ俺たちの買い出しを尾行してくるに違いない。俺が言わない決意を固めた矢先、一番来てほしくないタイミングで一番来ちゃいけない男が教室のドアを開けた。
「おーい慎士。現文の教科書貸してくんない?」
「悠人!?」
どうして今来るんだ・・・とにかく速やかに現代文の教科書だけ押し付けてすぐに追い出そう。そう考えて机の横に掛けてあったリュックサックのファスナーを思いっきり引っ張ると盛大に噛んだ。
「おっ、颯太、康平、遼太郎も、なに話してたの?」
俺がファスナーをガチャガチャしている間に事態は最悪の方向へと着実に向かっていた。
「白河さんの話。」
彼女とアイドルは別腹の颯太が俺を指さしながらそう答えた。俺は白河じゃねえよ、なんてのんきなツッコミを入れている場合じゃない。悠人が空気を読むか否か、後者だった場合に備えて俺は全精神を研ぎ澄ませる。悠人が口を開いた。
「慎士、今日中にこく・・・」
「月島さんとは・・・」
「あああっ、そうだ慎士に聞きたいことあったんだった!」
「奇遇だなあ、俺もだ!」
目配せし、俺達は逃げるように廊下へ飛び出して階段の踊り場まで行ったところでようやく足を止めた。
先に口を開いたのは悠人。
「慎士、なんてこと言うんだ。俺の命がどうなってもいいってのか?」
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