ヴァーチャル・リアリティ

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ふと、今朝の夢を思い出す。 あのとき、バスに乗り込む彼女を俺が引き止めていなければ、彼女がトラックに轢かれることは無かったんだろうな。そんな風に、夢とはわかっていながらも、若干の罪悪感や後悔を抱いている自分がいる。現実と錯覚する非現実という点においては夢も仮想現実と同じようなものなのかもしれない。 そう思うと尚更やりたくなくなってきた。 「ごちそうさま。」  食器を流しまで運び、ベランダから取り込んだばかりの制服に腕を通し・・・うわ、最悪、湿気ってんじゃん。とはいえ今からドライヤーで乾かすような時間もないので我慢する他ない。側に待機させてあった特筆すべきことは何一つないベーシックな黒のリュックサックだけを背負った俺は、別に当てにしているわけではないが、なんとなく星占いの結果だけを聞いて家を出た。 「十二位・・・か。」  別に気にしているわけではないが、九月のちょっと冷たい風と生乾きのカッターシャツのコラボレーションが予想外に寒かったこともあって、なんだかやるせなかった。 「そういやさあ、いつするの?」 「するって何を?」 「いや、だから告白。」 「またその話かよ・・・」     
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