ヴァーチャル・リアリティ

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 平日の朝は最寄りの駅で幼馴染かつ同じ高校に通う東悠人と待ち合わせ。週一で訪れる悠人の遅刻を省けば毎朝のルーティンだ。 「ほんとそろそろ告ったほうがいいでしょ、あと半年で俺ら卒業なんだし・・・」  このところはいつもこの話題になる。後押ししてくれるのはありがたいが、こっちにも考えがあってだな・・・ 「だからそれはつまり、いま告白したってあと半年で卒業するわけで・・・」 「すぐ別れるって?」 「そういうことだ。」 「慎士。」  不意に悠人が真面目なトーンになったので俺は少し身構えた。 「君の彼女に対する愛はその程度だったの?そうじゃなくても逃げるための口実だよ、それ。」  痛いところを突いてきた。 「そ、そういうお前はどうなんだよ。お前だって彼女いないだろ。」  結局苦し紛れにそう言って抵抗した俺だったが・・・ 「いるよ。」  その一言でとどめを刺された。  てっきり聞き間違えたのかと、近い内に耳鼻科に診てもらわねばと思ったのだが、悠人の得意げな表情を見るにどうやらその必要はなさそうだった。 「いつから?」 「高一の春から。」  驚愕の真実をさらっと言いやがった。 「嘘だろ・・・」 「嘘じゃないよ。」  いや待て、こんな初耳があってたまるか。付き合って二年になるだと?どうして十三年来の親友であるところの俺にその情報が回ってきていない。     
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