ヴァーチャル・リアリティ

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「他に知ってるやつは?」 「いないと思うよ。」 「だ、だよな~」 そうでないと困る、いや何が困るのかよくわからないが。 「っで、相手は誰なんだ、他校か?」 「ん~、本来言わないことにしてたんだけど・・・そうだね、条件を飲めば教えてあげるよ。」 「条件?まあ良いや、飲んでやる。」 「まず一つ目、誰にも言いふらさないこと。」 「それは確約できないな。」 「ちょ、おぉぉいっ!」 「わかった、言わない言わない。」 流石の俺も、親友が二年間隠してきた秘密を肴に他の友達と団欒しようなんて下劣な真似はしないさ。 「んまあ、じゃあ信用するけど・・・じゃあもう一つ。」 「まだあるのか?」 どうしてだろう、そこまで勿体ぶるならいっそ言わなければいいのに、むしろ悠人は俺に条件を提示するのを目的にしているかのように・・・ 「今日中に告白すること。」  俺が感じた違和感の正体はこれか。今日中に告白、流石にその条件は俺に多くを求めすぎではないか。そこまでして他人の馴れ初めを聞こうと思うほどの変態的執着心は俺にはない。と、いうことで。 「やっぱりいいわ。」 「月島菜々子。」 「おいっ、今いいって言っただろ!」 「えっ、『良いわ。』って言ったんじゃないの?」     
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