壱  鏑城聖 生還

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「お前さ、恋してね?」 「あ、バレた?」 「そこは否定しろよ」  ケイ以外に、死者以外に、理解者が一人でもいたことは聖にとって唯一の救いだった。 「いや、聖がおかしいのは割にいつものことだからよ。別に気にも留めなかったけど・・・変じゃね?」 「はっはっは! 大丈夫大丈夫!」 「何一つ大丈夫じゃないことはわかった」  親友たる帶刀冬威は、とりわけ変人に寛容な人間であった。  臨死体験談も、話したのは彼にだけ。 「はぁん、地獄で恋をね」  友人のいつもの馬鹿話と聞き流したのか、それとも本当に信じてくれたのか、その真偽のほどはわからないが・・・。 「そりゃぁ、さぞ良い女だったんだろうな」  ニヤリと笑った冬威のドヤ顔は、いつまでも忘れない自信がある。
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