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4、アヤメ:よい便り
単位をもらうためだけに取った、つまらなくて嫌いな講義。
「――つまり、ここの表現は――」
なんとなく。本当になんとなく後ろを振り向いた。
僕の美しい魔女が群衆から少し離れたところで授業を受けていた。
「――となります。じゃあ、今日はここまで。来週提出の課題についてだけど――」
僕の周りがノートやペンを片付けつつ先生の話を聞いてる中、僕は彼女を見つめていた。
白く細長い指が、シャープペンシルや消しゴムをつまんでは革製の綺麗な筆箱に収納していく。
その姿さえ美しい。その動作が美しい。
綺麗な髪の毛をなびかせながら教室を出ていく彼女の後姿を見つめながら、自分に起こった奇跡をかみしめていた。
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