4、アヤメ:よい便り

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「え!? 黒魔女さんが、学校にいた!? いつよ!」 「今日の三限……」 「ふーん。そう、よかったじゃない。……でも授業を受けてたってことはここの学生?でもそれなら……」 「お前が知らないわけがない」 「……うぬぼれかもしれないけど、うちの学科の授業受けてる学生なら、わかる自信はある」 「だろうな。お前はそこには自信もっていいよ」 「じゃあ、社会人枠……とか?それでも、ある程度取ってる授業がかぶってるはずだよね」  頭を掻きながら歩き回る南。  今の状態だと何を話しかけても多分聞いてくれない。というか、聞かない。 「僕は僕で彼女を追う」 「追ってどうするの? 告るの?」  ……こういうのはちゃんと聞いてるのか。 「それは……わからない」 「理人のことだから、話しかける勇気もないんでしょ」  ……お前に僕の何がわかる。たかが幼馴染の分際で。 「……さあな。僕は帰る」  いつもなら気にせずにいれた南の言葉がなぜか耐えられなかった。  こんなにも僕は子供みたいな人間だったのか?情けない。こんな姿じゃ、きっと幻滅されてしまう。僕は変われるんだ、変わるんだ。彼女がいるから。  僕は、南の顔を見ることなく部室から出た。   通路の真ん中を突っ切っていく。 あぁ。気分が悪い。僕はとても気分が悪い。 携帯から目を離さずに歩いてくる若いサラリーマン。肩がぶつかったのに謝らない。 ベビーカーで横に並び狭い道を歩く若い女性。道をふさいで邪魔なうえに歩くのが遅い。 寝てて僕に寄りかかってくる同い年くらいの茶髪の男。重い、うざい、触るな、当たるな。 すべてにイライラする。 改札の扉が閉まる。 「もう一度タッチしてください」 なんだ。なんなんだよ。なんで嫌なことは連続に積み重なるんだ。幸せなことはそんな簡単に積み重なってくれないのに。  僕だけなのか?そういや南はいつも幸せそうだ。なんの悩みもなさそうだ。 「今日はもう嫌だ。さっさと家に帰ろう」
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