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6、ペニチュア:変化
彼女を手にしたいのなら変わらないといけないんだろうか。南からは「顔は悪くないんだから、身なりさえ整えれば見た目だましくらいはできるのに」と言われてたし……
僕が嫌っているような男でなければ、彼女に話しかけるという権利は得られないのだろう。
今の僕が可能なのは、偶然の謁見のみだ。
「どうしたんだよ。いつものやばい顔がさらにやばいよ? 今泉」
バイト先のパリピ、富田。
こいつはただチャラいだけで問題起こすタイプじゃなく、陰キャにも分け隔てなく話しかけるというだけのパリピだからまだましだ。
「……寝不足なだけだよ」
「そういや昨日のレイトショー、シフト入ってたんだっけ? いくら深夜手当はいるからってよくやるよなーー」
「まぁ、基本暇だし」
チラッと富田の顔を見ると、「だろうな」みたいな表情。うるせー余計なお世話だ。
そんな表情をしたつもりだったが、彼には伝わらなかったらしくポップコーンを買いに来た客の対応をしに行った。
今日はやけにカップルが多いな。
あと30分後に最近公開されたばかりの映画が始まる。そろそろ……
「今泉――そろそろポテト揚げといてくれ」
「……わかってるよ」
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