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まずはお金だ。
お金がないことには外見を変えることはできない。
富田みたいに僕はイケメンじゃないからモテモテになることは不可能だろうけど、清潔感さえあれば少しはましだろう。
カメラや食べ物くらいしかまともな買い物をしていなかった僕は、ある程度貯蓄があった。
とりあえず、髪と服から。今月は割と多めに入ってるから食費を極端に削らないといけない状態にはならないだろう。
僕はいつもの千円カットではなく3980円でカットシャンプーをするという店に。
……これだけ金出してんだから、少しはおしゃれになるだろう。
いつもとは違う空気。
おじさんがいない。若い人しかいない。てか女の人もいるじゃないか。なんかすごいいいにおいするし……
「いらっしゃいませ。カットでよろしかったですか?」
「あ、はい……」
金髪のふわふわした女性でもいそうな男性……ホスト以外でもこんな顔の奴いんの?
「どんな感じがいいとかありますかぁ?」
「と、特に……なくって……その、お任せってできますか?」
僕みたいなのが来るべきじゃなかったんだ……今更、後悔しても遅いけどさ……
「んーーそうですね……お客さんは、ワックスとかつけたりしてスタイリングしたりする?」
「いや……したことない……です」
「なら、スタイリングしなくてもいい感じの髪形にしようか! それでもスタイリング剤使うだけでまた雰囲気変るから、気が向いたら買ってみてよ。スタイリングのやり方も教えてあげるね」
……めっちゃいい人だな、この人。こんな陰キャの相手をさせられているのに。あ、俺が客だからか。
「なんかさ、俺の勘違いかもしんないけど今の自分から変わりたいって思ってると思ったからさ。変わるのって難しいよな……俺もつらかったもん。だから少しでも手伝えたらいいなって思ってるからさ……まぁ、勘違いだったらこんな熱弁しててもは? ってなるだけだけど(笑) そうだったらめんごってことで(笑)」
「……あ、いや。ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「おけおけ! 任せてよ」
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