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7、貫地谷南
「いらっしゃい。南ちゃん」
「うん」
「なんか元気ないね。どうしたの」
「んーちょっとね……」
「自分がおせっかい妬いてた子から冷たく当たられた……とか? はい、お通しね」
「ありがとう。……エスパーなの?」
「あれ、当たってたんだ。……なんとなくだよ。南ちゃん誰にでも優しいからそうなのかなって思っただけ」
「そんな風に見えてるの? なんかちょっとやだな」
「んー私は助かってるけどね。実際、助けられてる子はいっぱいいると思うよ。いろんな人と仲良くできるのって一種の才能でもあるし、努力のたまものでもあるんじゃない?」
「そんなことないよ」
「知らない人に話しかけるのって結構、労力使うじゃない? まあ逆もしかりだけど。でも、話しかけられた側が疲れないというか。そういう気を使えるというか……うーん、どうも語彙力がないから駄目だね」
「そうかな。自分では考えもしなかった」
「私は南ちゃんのそういうとこ好きよ。あ、話長くなっちゃったね。何か飲みたいのある?」
「カクテルはよくわかんないからなぁ……お勧めで」
「了解……ちょっと待ってね」
「お待たせしました。こちら、ミモザでございます」
「……綺麗」
「ミモザはオレンジジュースとシャンパンを混ぜたカクテルで、きれいな黄色がミモザの花に似ていることからこの名前が付けられたんだよ」
「へぇ……」
「カクテルにはね花言葉みたいに込められた意味を持つカクテルがあるんだよ」
「そうなの?」
「そう。このカクテルの言葉は……真心」
「そんなかっこいいことして……質の悪いのに好かれちゃうかもよ?」
「あらら。たちの悪い男はご遠慮したいかな! ……そうね、私も南ちゃんも気を付けないとね」
「……そうだね。これ美味しいね!すっごい贅沢なオレンジジュースみたい!」
「ふふ……そうなの、女の子に人気のカクテルだから、飲みやすいかなって思ったの!美味しいならよかった」
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