2人が本棚に入れています
本棚に追加
人がまばらになった大学の廊下をできる限り音をたてないように歩いていく。
すると、遠くから近づいてくるカツカツと不揃いな音の集団。単調な色の地面から音のするほうへ目を向けると、品の悪そうな顔と声。その中で、さわやかな風貌の男が一人。
堺准教授。この人は化学を教えていて、文学部の僕からしたら選択でこの先生の授業を取らない限り縁のない先生だ。
若い先生、優しい、イケメン、白衣の4つは女子がメロメロになるには十分すぎるステータスらしい。もちろん全部、南談だが。
男を囲んだ下品な集団は、端を歩く僕には目もくれず通り過ぎてゆく。
集団が角を曲がったのを確認して、僕は埃っぽい新鮮な空気を肺に入れる。
(辛気臭い顔w)
(キモヲタは帰れw)
「はぁ……考えすぎだよな」
僕はまた音をたてないように歩き、帰路についた。
最初のコメントを投稿しよう!