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彼女と並べば、田舎の公立中学のセーラー服の自分がいかに野暮ったいか思い知らされる。それでも私はご主人様を待ち続けていた犬のように駆け寄った。
「今日は、美雪ちゃん。寒いわね」
香世子さんは、いくつも年下の私に、こうして挨拶をしてくれる。だから私も遅まきながらこんにちは、と返す。
「仕事の帰り?」
「そう。雑誌の打ち合わせよ」
香世子さんは車の後部座席にまわり、置いてあったいくつかの荷物を取り出した。一番大きくてずっしりと重たげな革鞄(エディターズバッグと言うらしい)を自分の肩に掛け、他の小さくて軽い紙袋をこちらに寄越してくる。
「悪いけど、玄関まで運んでくれるかしら?」
熱いお茶をごちそうするから、とチャーミングに微笑んだ。
こういう時、香世子さんは本当に気遣いの人だと思う。私は一も二もなく頷き、香世子さんの後に続いて、高台の白い邸へとつながるアプローチに足を踏み入れた。
初瀬香世子。香世子さんは、隣家で一人暮らしをしているご近所さんだった。隣りと言っても、この辺りは土地だけはむやみにあり、自宅と香世子さん宅は数百メートルほど離れている。その間に他の家が無いから、まあ、隣りは隣りだろう。自宅の前の道路が緩やかな坂になっており、その上がった先の高台に香世子さんの洒落た外観の白い邸が建っていた。
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