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戸の向こう、廊下が静かになった。あたしを背後から抱きしめるこの腕は。全身に感じるこの固い胸は。
「やっと、捕まえられた」
遼ちゃん!
真っ暗な部屋の中。ここは確か数学準備室。
「ドキドキしてる?」
「うん……」
破裂しちゃいそうな胸の鼓動が、 抱きしめてくれてる遼ちゃんの腕にきっと伝わってる。
「ひよ」
耳元であたしの名前を呼ぶ、ずっとずっと聞きたかった、堪らなく愛しい声。それだけで全身が痺れちゃう。
「目、閉じて」
遼ちゃん?
遼ちゃんの腕が緩み、ゆっくりと向き合って、唇を重ねる――。
大好きな遼ちゃんのキス。優しくて甘くて、全身から力が抜けてとろけてしまうような。
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