第一章 日常

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Akihito_side 一番小さくしたアラーム音で目を覚ます 起き上がると、ぼーっとした頭で直ぐに音を切った 「………起き………てない?」 部屋の外に意識を集中させて音がしないのを確認する 「大丈夫…か」 声に出してしまうのはもう癖 部屋の空気を掻き切ることができるから。 ………って言ってもめっちゃ虚しいけど ひとつ伸びをしてベットサイドにある時計を手に取る 時刻は午前五時。 「制服…着替えよ……」 立ち上がった瞬間、隣の部屋のドアが開く音がして息を潜めた。 「お父さんー!」 嬉しそうな声が聞こえた 温もりが残るベットから名残惜しく腰を上げると、 鞄を持って静かに玄関へと向かった 「あぁ、忘れてた」 リビングに戻って、チラシを取り、裏に -部活に行ってきます- と走り書きをし、冷蔵庫に貼る 一応タオル…持って行くか 金曜は寒そうだったし…… タオルを二枚ほど手に取り、玄関に行って靴を履くと、携帯が鳴った ……慎二からだ。 -今日空いてる 酒臭くていいなら来て- グループの方か。 はるの家の後は、慎二の家に行くか。 頭ん中で予定を立てながら 怖くても言ったその言葉 「………………いってきます」 (帰ってこない朝の挨拶)
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