第一章 日常

4/32
前へ
/32ページ
次へ
Akihito_side はるの家に着いて、インターホンを鳴らす 中から物音がする。 ガチャ 不機嫌なはるの親。 何度見たことか。 「…今日も部活かい?」 「あ、はい。部活で…」 バタン と大きな音を立てて閉められたドア。 その後に聞こえる物音。 朝から殴られてる…? そう思うと、違う方法でしか向かない俺の親の矛先に少し安心する悪い自分。 ガチャ 「じゃあ、いっておいで。晴輝」 そう行って中からはるの肩を持って出てきた ってずぶ濡れじゃん…! ………でも今、言わないほうがいいか。 後でどんな目に合うかわからないし。 「君も朝早くご苦労だね。 私が送り届けるからもう来なくていいよ」 「いえ……。先生に一緒に来るよう言われてるので」 「そうかい、じゃあね。晴輝」 バタン また強くドアを閉める (ビクッ) とその音にびっくりするはる 「俺の使うか?」 そう言って持ってきたタオルをはるの頭に乗せた 「秋くん……ごめんね………」 「全然いいよ」 はるが目線を足元から動かさない。 「はる…?」 しゃがんで下から覗くと、 涙を零さないよう耐えているのがわかった 「おはよ…。」 「おはよう。はる」 そう言い返すと、顔を逸らしてエレベーターホールへ歩いて行った まあ、いつものことだけど。 「今日は慎二の家空いてるってさ」 「神谷くん?」 「うん」 エレベーターに乗ると、落ち着いてきたのか顔を合わせる。 タオル渡したから大分マシにはなったけど、 髪から制服の肩が濡れるくらい水が落ちてたし、 顔を見ると少し腫れた左頬と切れた唇。 袖口から見える手首にも紫の痣。 昔とは違って見える位置に傷がある。 「…あ。今日小テストだったっけ?」 「うん。数学と、化学だって」 「どっちも苦手…。 化学ってなにするの?」 「先生、最近基礎がなってないから 中学校の内容するって言ってたよ?」 「うわ~、覚えてねぇ」 「BTB溶液とかさ」 「懐かしい感じもするけど…!」 ふわっと笑うはるの顔にホッとした。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加